引井総男の何か

読書、音楽、写真、散歩などの気ままな記録

歴史

雨の興福寺五重塔

大塩中斎とキリスト教

中斎が叛乱を起こす前、文政年間の終わりに驚くべき事件があった。1827年(文政12年)に起きたキリシタン処罰事件がそれだ。 豊田貢が事件の首謀者として書かれているが、この人物は女性である。幕末のイデオロギー闘争史を追うと、豊田貢らの「キリシタン」…

刑罰の懲戒主義と感化主義

「禁門の変」で24年の生涯を終える久坂玄瑞は、その5年前の1859年10月、「安政の大獄」吹き荒れ知友の橋本左内を失って、彼の思い出を自著『俟采択録』に留めている。左内は捕われて獄にあった時、獄中のしきたりが余りに酷いのを憤り、囚人には職業教育を施…

荻生徂徠を読む(3)

政治方法論において徂徠は飽くまで実践主義者であり、形而上学的な理想論を説き聞かせたりしない。人の教育法にしても、とやかく指示教示せずに、まずは自由にやらせてみるが良いと言っている。都市に農民が流れ住み着いて秩序が乱れる事態を収拾するためと…