引井総男の何か

読書、音楽、写真、散歩などの気ままな記録

2015-01-01から1年間の記事一覧

京都府立 旧西陣小学校(1936年設立) 朝の散歩で偶然出会った

始まる秋の午後 室見川河畔

妖しの白猫 福岡市室見駅近く河畔公園

気ままな読書録17 『狗賓童子の島』感想

舞台は1868年明治維新元年、隠岐2島の北側「島後」。主人公は1837年に起こった大塩平八郎の乱に連帯して戦った西村履三郎の子、西村常太郎。1846年に、罪人の子として15歳の常太郎は島後に流刑となった。 物語はこの少年が流人として暮らしな…

気ままな読書録 水戸学とは何か

岩波『日本思想大系』「水戸学」には、藤田幽谷、藤田東湖「壬辰封事」・「勧農或問」、豊田天功「中興新書」・「防海新策」、会沢安「退食間話」・「人臣去就説」・「時務策」、徳川斉昭「告志篇」などのあまり目にしない文書も収録してある。 以下に教義的…

カプティーノの支度

猛暑に成る 福岡市室見団地

博多湾の夏 愛宕浜から百道浜を臨む

道の端から朝日が昇る 福岡市早良区南庄午前5時45分

炎天に夏水仙 福岡市早良区南庄

暑い風になびくポプラ 福岡市南庄

気ままな読書録16 『近代の超克』感想 その二

しかし「文学界」知識人や京都学派の発言は、一見しただけではデマゴーグに見えないだけでなく、なぜそこから戦争肯定に繋がるのか判然としないものも多い。なんとなれば西欧のご当地でも「西洋の没落」が取り沙汰されていたのだから。特に京都学派の人文学…

気ままな読書録15 『近代の超克』感想 その一

1942年夏に物された論文と座談会を掲載したこの書物には、前年12月8日に開始された「太平洋戦争」緒戦の勝利の高揚感が色濃い。参加者皆が意気軒昂たる口吻を漏らしている中で、とりわけ溌剌たる発言をしているのが亀井勝一郎と林房雄である。 彼らには、「…

台風来襲前の快晴、波高く風強し 室見川河口・愛宕浜から百道浜を望む

気ままな読書録14 『道元』上下巻(岩波書店版) その二

以上の経歴から判るように、道元は全生涯を仏教が語ることを考え、また周囲の人々に伝えることに費やした。他に混じるものがない、宗教者としてだけの人生を送ったと言える。 道元の言行は実際の人生行路と一致して超越論的である。仏の教えをただ祖述するの…

気ままな読書録13 『道元』上下巻(岩波書店・日本思想大系版) その一

下巻末に校注者の一人、水野弥穂子(第1刷発行1972年当時、駒沢短大助教授)が「道元禅師の父、母、祖父」という章を書いてくれている。それによると父は久我通親(「こがのみちちか」と読む)、母は松殿関白基房の女(むすめ)で、生年は1200年丁度なのだ…

梅雨の晴れ間の博多湾 左から愛宕浜、能古島、ぼんやりと志賀島

カラスウリの花 福岡市西区西部運動公園付近で

気ままな読書録12 吉村昭『暁の旅人』

新聞の本の広告欄で紹介してあったので買って読んだ。医師松本良順の史伝である。読後まず抱いた感想は、吉村作品にしてはいかにも淡白だという期待はずれである。 同じ講談社文庫に吉村の『日本医家伝』というのがあって、それにも松本良順伝が載せられてい…

カモの休憩 オス3羽とメス1羽 福岡市早良区田村付近の室見川

気ままな読書録11 アーネスト・サトウ『神道論』

外交官アーネスト・サトウによる『神道論』は1870年代の成果である。横浜に本拠をおいた外国人によるアジア研究ソサエティでの講演や論文を集成したものだ。この組織に関しては萩原延寿『遠い崖』にも度々取り上げられていた。イギリス公使館の職員も数人が…

私説 井上毅伝10 「明治14年の政変」 

この国の有り様を決定づけた事件の一つとして、1881年の「政変」は大きな意味を持っている。この「政変」の真相に関しては今なお大久保利謙氏(大久保利通の孫)の著作の域を越えるものは現れていないものと思われる。大久保が論証しているのは、要するに黒…

合歓(ねむ)の木 福岡市早良区田の室見河畔に自生していた

私説 井上毅伝5 大転身

井上毅の政治的文書の中で私が最も重視するものの一つが、「佐賀の乱」直後の1874年4月に提出された「官吏改革意見」だ。大学南校職員時代に書かれた大学改革案が一体誰に対して差し出されたものか定かではないのと打って変わって、1874年4月の建議書は右大…

大塩中斎と蘭学者たち

杉浦明平は『維新前夜の文学』(岩波新書、1967年)を著わして、その第4章に「儒学における保守と急進」と題し、佐藤一斎と並べて大塩中斎を立てている。両人を同等に並べたのは杉浦の炯眼だ。 大塩平八郎中斎の名を天下に轟かせたのは、言うまでもなく1837…

曙光 福岡市室見川河畔

気ままな読書録10 ジェラルド・グローマー『瞽女うた』 

この本はこの国に1970年代までは活動していた、盲目放浪の女性芸人である瞽女(ごぜ)の歴史、作品を論じている。グローマーはジョーンズ・ホプキンス大学と東京芸術大学で音楽博士号を取っている専門家だから、瞽女うたの旋律を採譜して分析するのは当然と…

私説 井上毅伝4 政治的飛躍

一年に満たなかったが出会いに満ちたフランス留学から帰国したのが明治6年(1873年)の9月。強烈な印象を残して先に帰国した大久保利通、そんな大久保が心から師事していた岩倉具視と相前後して祖国に戻ったのだった。 残留組の西郷隆盛、板垣退助、江藤新平…

「怪獣ガメラ」の甲羅干し 福岡市室見川で目撃!

田の面に映る白紫陽花