引井総男の何か

読書、音楽、写真、散歩などの気ままな記録

2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

道の端から朝日が昇る 福岡市早良区南庄午前5時45分

炎天に夏水仙 福岡市早良区南庄

暑い風になびくポプラ 福岡市南庄

気ままな読書録16 『近代の超克』感想 その二

しかし「文学界」知識人や京都学派の発言は、一見しただけではデマゴーグに見えないだけでなく、なぜそこから戦争肯定に繋がるのか判然としないものも多い。なんとなれば西欧のご当地でも「西洋の没落」が取り沙汰されていたのだから。特に京都学派の人文学…

気ままな読書録15 『近代の超克』感想 その一

1942年夏に物された論文と座談会を掲載したこの書物には、前年12月8日に開始された「太平洋戦争」緒戦の勝利の高揚感が色濃い。参加者皆が意気軒昂たる口吻を漏らしている中で、とりわけ溌剌たる発言をしているのが亀井勝一郎と林房雄である。 彼らには、「…

台風来襲前の快晴、波高く風強し 室見川河口・愛宕浜から百道浜を望む

気ままな読書録14 『道元』上下巻(岩波書店版) その二

以上の経歴から判るように、道元は全生涯を仏教が語ることを考え、また周囲の人々に伝えることに費やした。他に混じるものがない、宗教者としてだけの人生を送ったと言える。 道元の言行は実際の人生行路と一致して超越論的である。仏の教えをただ祖述するの…

気ままな読書録13 『道元』上下巻(岩波書店・日本思想大系版) その一

下巻末に校注者の一人、水野弥穂子(第1刷発行1972年当時、駒沢短大助教授)が「道元禅師の父、母、祖父」という章を書いてくれている。それによると父は久我通親(「こがのみちちか」と読む)、母は松殿関白基房の女(むすめ)で、生年は1200年丁度なのだ…

梅雨の晴れ間の博多湾 左から愛宕浜、能古島、ぼんやりと志賀島

カラスウリの花 福岡市西区西部運動公園付近で

気ままな読書録12 吉村昭『暁の旅人』

新聞の本の広告欄で紹介してあったので買って読んだ。医師松本良順の史伝である。読後まず抱いた感想は、吉村作品にしてはいかにも淡白だという期待はずれである。 同じ講談社文庫に吉村の『日本医家伝』というのがあって、それにも松本良順伝が載せられてい…

カモの休憩 オス3羽とメス1羽 福岡市早良区田村付近の室見川

気ままな読書録11 アーネスト・サトウ『神道論』

外交官アーネスト・サトウによる『神道論』は1870年代の成果である。横浜に本拠をおいた外国人によるアジア研究ソサエティでの講演や論文を集成したものだ。この組織に関しては萩原延寿『遠い崖』にも度々取り上げられていた。イギリス公使館の職員も数人が…

私説 井上毅伝10 「明治14年の政変」 

この国の有り様を決定づけた事件の一つとして、1881年の「政変」は大きな意味を持っている。この「政変」の真相に関しては今なお大久保利謙氏(大久保利通の孫)の著作の域を越えるものは現れていないものと思われる。大久保が論証しているのは、要するに黒…

合歓(ねむ)の木 福岡市早良区田の室見河畔に自生していた